睡眠について

あなたは睡眠不足?睡眠のセルフチェック方法をご紹介

「なんとなく眠くてだるい」、「スッキリ起きられない」など、睡眠不足が気になる方はいませんか?
睡眠不足なのか判断する上では、時間だけではなく睡眠の深さや質なども複雑に絡んでいます。毎日の不調や体調不良は、実は睡眠不足が原因ということもあるので、ご自身の睡眠の状態を正しく把握すること、認識して改善することが大切です。

そこで今回は、睡眠不足のチェック方法をご紹介します。ぜひ、この機会に自分の睡眠を知り、睡眠改善に役立てましょう

まずは簡単なセルフチェックから

下記に1つでも当てはまり、生活に影響が出ている場合には睡眠不足の可能性が高いです。 まずはセルフチェックをしてみましょう。

  1. 1.ベッドに入ってから、30分~1時間以上眠りにつけない
  2. 2.寝ている途中に何度も目が覚めて起きてしまう
  3. 3.予定していた起床時間より早く目覚め、その後眠れない
  4. 4.睡眠時間のわりには熟睡感がない、眠りが浅く夢を多く見る
  5. 5.日中、スッキリと快活に過ごせない
  6. 6.日中、いつものように元気に過ごせない
  7. 7.日中、眠くて居眠りしてしまうことがある

何時間眠れば睡眠不足ではない?

一般的によく「8時間睡眠が良い」と言われますが、実は睡眠時間について絶対にこの時間眠るのがベストという基準はありません。睡眠が十分か不足しているかは、時間だけでは測ることができないのです。睡眠時間が短くても熟睡できたと思えれば十分で、逆に長く寝ていてもスッキリしない、眠った気がしないのであれば睡眠の質が悪い状態と言えます。

睡眠不足の専門的なチェック方法

睡眠不足のチェック方法は、主観的評価方法と客観的評価方法に分かれます。
主観的評価方法は、アンケートや問診などによって睡眠状態をチェックする方法です。もう一方の客観的評価方法は医師などからの評価や機器などを用いて評価する方法になります。

これらの評価方法は必ずしも同じ結果になるわけではなく、どちらかの評価結果だけ睡眠に問題があるという結果になる可能性もあります。そのため、可能であれば両方の評価を行ってみることをおすすめします。

睡眠不足チェック方法【主観的評価方法】

主に主観的評価は以下の項目の自己評価を数値化または分類します。

  • 気分
  • 感情
  • 身体状態
  • 行動
  • 習慣
  • など
医療現場などでも使用されている主観的評価方法として代表的な評価方法は以下になります。それぞれについて少し専門的になりますがご紹介していきます。
  • ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index:PsQl)
  • アテネ不眠尺度(Athens Insomnia Scale:AIS)
  • エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale :ESS)
  • スタンフォード眠気尺度(Stanford Sleepiness Scale :SSS)
  • 睡眠日誌

①ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index:PsQl)

ピッツバーグ睡眠質問票は、睡眠障害に関する研究で使用されることが多いチェック方法です。1989年にピッツバーグ大学の研究者によって開発され、現在56ヵ国語に翻訳されて広く用いられています。

1ヵ月間隔で睡眠の質を評価するアンケート方式で、質問全体が以下の7つの構成で分類され、得点化され評価します。0〜21点で評価され、5.5点を超えると睡眠障害の可能性があると判定されます。

  • 睡眠の質
  • 睡眠時間
  • 入眠時間
  • 睡眠効率
  • 睡眠困難
  • 睡眠薬の使用
  • 日中の眠気

7つの項目の得点を計算しさらに加算することで総合得点が算出され、総合得点の値によって睡眠障害の可能性があるかどうかを判定する方法です。

<質問事例①>

問1 過去1ヵ月間において、通常何時ごろ裏床につきましたか?

回答  就床時刻(1.午前 2.午後)  時  分ごろ

<質問事例②>

問2 過去1ヵ月間において、寝床についてから眠るまでにどれくらい時間を要しましたか?

回答  約  分

②アテネ不眠尺度(Athens Insomnia Scale:AIS)

世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-10)に基づき作成された、不眠症の程度を評価する方法です。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、睡眠不足のレベルを判定します。

質問内容は、夜間症状と日中機能障害の2つに分けられ、合計0~24点の範囲で評価します。6点以上では不眠症の可能性があると判定されます。
評価は次のように各質問について4段階で評価します。

<質問事例>

質問A 寝つきの問題について(布団に入って電気を消してから眠るまでに要した時間)

    回答
  1. 問題なかった
  2. 少し時間がかかった
  3. かなり時間がかかった
  4. 非常に時間がかかったか、全く眠れなかった

③エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale :ESS)

エプワース眠気尺度は、世界で最も使用されている日中の眠気を測定する評価方法です。
日常生活での日中の眠気について回答してもらう方式で、8項目から構成されています。各質問で回答された数字(0〜3点)を加算し、総合得点を算出します。得点が高いほど日中の眠気が高いと判定され、合計得点11点を超えると過眠が疑われます。

<質問事例>

どんなときに眠くなりますか?

  1. 座って何かを読んでいるとき(新聞、雑誌、本、書類)
  2. 座ってテレビを見ているとき
  3. 会議、映画館、劇場などで静かに座っているとき
  4. 他の人の運転する車に1時間以上続けて乗っているとき
  5. 午後に横になって、休憩をとっているとき
  6. 座って人と話をしているとき
  7. 昼食後(飲酒なし)、静かに座っているとき
  8. 座って手紙や書類を書いているとき

全ての質問で以下の4段階で回答

  1. 決して眠くならない
  2. まれに眠くなる
  3. 時々眠くなる
  4. 眠くなることが多い

④スタンフォード眠気尺度(Stanford Sleepiness Scale :SSS)

スタンフォード眠気尺度は、眠気の測定法として世界で初めて開発された評価方法です。1973年にスタンフォード大学で開発され、眠気の程度が7段階に分類されています。1~7段階の最も当てはまる数字を選択する方法で、7が最も強い眠気を表します。

<質問事例>

現在のあなたの眠気について、最も近いものを一つ選び番号に丸をつけて下さい。

  1. やる気があり、活発で、頭がさえていて、眠くない感じ
  2. 最高とはいえないまでも、頭の働きが活発、集中していられる
  3. くつろいで起きている、しかしどちらかというとすこし頭がぼんやりし反応が悪い
  4. すこしぼんやりしていて、何かしたいと思わない
  5. ぼんやりしている、集中していられない、起きているのが困難
  6. 眠いので横になりたい、ぼおっとしている
  7. まどろんでいる、起きていられない、すぐにねむってしまいそうだ

⑤睡眠日誌

睡眠日誌は、睡眠不足の主観的評価で最も用いられている評価方法です。睡眠日誌以外にも、睡眠表や睡眠ダイアリーとも呼ばれています。前の晩を振り返り、眠りの状態を少なくとも2週間程度は毎日記録する必要があります。その結果、自分の睡眠習慣や生活パターンを視覚化し、睡眠・覚醒リズムや不眠状態を把握するのに役立ちます。さらに、少し手間はかかりますが、日ごとの行動も記録しておくことで、改善ポイントが見つかりやすくなります。

ただし、睡眠日誌を活用する際には、あまり細かく厳密に記入すると過緊張が起こり、かえって眠れなくなってしまう場合があることに注意が必要です。

あなたの1週間の睡眠パターンと日中の支障について記録をつけてみてください。
意識的に取り組んだことがあれば、書き込んでください。

睡眠不足チェック方法【客観的評価方法】

客観的評価方法はセルフではなく専用の機械などを使って評価する方法です。自宅ではなく例えば病院など専門的な機関にて実施することが殆どです。ただ、自宅などで簡易的に計測するものも一部あります。

  • 睡眠ポリグラフ検査
  • 脳波測定
  • アクチグラフ   

①睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography :PSG)

睡眠段階を判断するための国際的な判断基準として1968年に提唱され、睡眠の評価や診断において最も精度が高い計測方法として知られています。検査室で一晩の睡眠を計測し、身体のあらゆる部位に機器を装着して行います。

  • 睡眠段階を知るための脳波、眼球運動、顎の筋電図、下肢の動きを測る筋電図、心電図
  • 呼吸状態を知るための気流センサー(脳波・眼球運動・心電図などを測る)
  • マイク(いびき音を測るため)
  • バンドセンサー(胸式・腹式呼吸を計測)
  • パルスオキシメーター(動脈血中酸素量を測る)
  • 体位・体温センサー(体位・体温を測る)
  •   

以上の機械を使って睡眠状態を客観的に観察・評価します。測定の精度が高い一方で、高額な機械や設備が必要であることから行える機関が少ないことがデメリットです。また、検査を受ける方の拘束時間も長い傾向にあり、手軽にすぐ受けられる検査ではありません。

②脳波測定

脳波測定では、覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠の3つの睡眠段階を評価します。 一般的に、覚醒時の脳波は細かく、早い動きをする一方で、深いノンレム睡眠になると、大きなゆっくりとした波形が現れます。

近年では、より簡易的に自宅でも脳波を測定できる電極シートを用いたパッチ式の脳波計のようなデバイスも開発されているので、自宅でも簡易的に脳波チェックを行うことは可能です。

③アクチグラフ

睡眠・覚醒リズムを客観的に評価する方法です。加速度を感知する腕時計ほどの小型のセンサーを腕や腰に装着してはかります。睡眠障害や薬剤の副作用を評価する際にも使用されることがある評価方法として知られています。生活を制限せずに使用できるため、日ごとの変化(日差変動)を把握するのに適しています。

睡眠不足をセルフチェックできるおすすめ方法

ここまで主観的評価方法と客観的評価方法の代表例についてご紹介してきました。 主観的評価方法は、チェック項目なども多く、かつ判断レベルに迷う場合もあります。また、客観的方法の中には病院などに行かないと計測できないものなどもあるため、少し敷居が高くなってしまいます。

そこで今回は最後に自宅でも簡単にできる睡眠不足チェック方法をご紹介します。 スマートフォンの睡眠計測アプリや客観的評価方法でご紹介したアクチグラフは手軽に睡眠を計測できる方法としては優れているので、おすすめです。

①スマートフォンの睡眠計測アプリ

最近ではスマートフォンやスマートウォッチなどにも、睡眠計測アプリが搭載されている、もしくは利用できるようになっています。特別な機械を使わずに手軽に睡眠をチェックするには取り入れやすい方法です。

睡眠計測アプリでは、睡眠中の動きを加速度センサーで検知し、マイクで呼吸音やいびきを録音しています。そして、呼吸音の大きさやリズムから、睡眠の深さを判断します。計測精度については病院などで専門の機器で測る場合と比べて少し劣りますが、睡眠時間と睡眠・覚醒の時刻については正確に記録できるものも増えており、セルフチェックに取り入れるのには十分と言えるでしょう。

②アクチグラフ

アクチグラフも同じく腕時計のように気軽に装着して使えるタイプの機器になります。難しい設定などもなく、かつ装着しやすく外れにくいため睡眠中のストレスもありません。

さらに、アクチグラフではスマートフォンのアプリでは計測できない、もしくは正確に計測できない、寝姿勢・寝返りの回数・寝床内温度なども測定可能なタイプもあります。スマホやスマートウォッチよりも、より睡眠チェックに特化したタイプが良い場合にはアクチグラフがおすすめです。

睡眠不足をチェックして睡眠を見直そう!

睡眠不足のチェック方法についてご紹介しました。ご自身の体感として熟睡感があるか、快適に過ごせているかが第一の指標になりますが、より細かく睡眠の質や時間などを評価したい場合にはご紹介したようなチェック方法を参考にしてみてください。

睡眠不足の是正には自身の今の状態を知ることが最初のステップです。ぜひ、ご自身の睡眠を見つめ直し、より理想の睡眠を目指して生活を見直していきましょう。

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