睡眠知識

「睡眠負債」をためないためにできること

日々の忙しさから、つい睡眠時間を後回しにしてしまう方は多いのではないでしょうか。気づかないうちに「睡眠負債」をため込んでしまうと、からだのコンディションが乱れやすくなり、普段の活動に影響を及ぼす可能性があります。本記事では、睡眠負債とはそもそもどのようなものなのか、そしてそれをためないためにどのようなアプローチがあるのかをお伝えします。仕事や家事など多忙を極める方が、少しでも毎日をイキイキと過ごせるヒントになれば幸いです。

睡眠負債とは何かを知っておこう

ここでは、「睡眠負債」という言葉が何を指すかをおさらいします。毎日の睡眠が少しずつ足りない状態が続いたときのからだへの影響を想像しながら読み進めてみてください。

居眠りする女性

慢性的に眠りが不足する状態を指す

睡眠負債というのは、その名のとおり「眠りの不足が積み重なって借金のようになった状態」をイメージするとわかりやすいかもしれません。一晩だけ少し睡眠が足りなかった程度では、負債にならないとされています。しかし数日から数週間、連日にわたって充分な睡眠が確保できない状況が続くと、慢性的な眠気やからだのコンディションの乱れなど、さまざまな悩みを招くことがあります。

過度な心配は不要ですが、「ちょっと寝不足かも」と感じる日が常態化していないか振り返ることが大切です。毎日数時間ずつ足りない状態を見逃すと、気づいたときには大きな負債になっているかもしれません。

「寝だめ」で取り戻すのは難しい?

平日の睡眠不足を週末にまとめて補う、いわゆる「寝だめ」はよく耳にする対処法です。しかしこれは、一時的に足りない分を上乗せしているだけであり、その後も不規則な睡眠が続けば再び不足しやすくなります。理想的には毎日なるべく同じリズムで、十分な睡眠を確保することが大切です。特に決まった起床時間を維持し、就寝時刻を少し早めに調整する方法は、多くの研究でも勧められています。

睡眠負債が気になる方への心得

ここでは、睡眠負債によるからだの変化について、研究上の発見をもとに解説します。さらに、その変化と日常生活との関わりを整理しながら、困らないための日々の意識づけを考えてみましょう。

夜食を食べる女性

食欲バランスの乱れに注意する

世界的な研究によると、睡眠が不足するとからだの様々な調整物質に変化が起こり、食欲をおさえにくくなる傾向があると示唆されています。たとえば、1日の睡眠時間が4時間に制限されたグループでは、9時間しっかり眠ったグループよりも1日あたり300kcal程度多く食事を摂取したという報告があります。また、内臓まわりに負担がかかりやすいという観察もあります。これらは「食べ過ぎを誘発しやすい状態」に注意する必要があることを教えてくれます。

栄養面からすると、夜中に食品をつまむ機会が増えたと感じる場合は要チェックです。就寝時間が定まらず、夜更かしを続けていると「小腹が空いてストレス解消に何か食べてしまう」といった習慣が積み重なり、いつの間にか悩みが増えてしまう可能性も。だからこそ十分な睡眠量を大切にする姿勢は、栄養バランスも保ちやすくなる意味で有用と考えられます。

「質より量」が基本の考え方

「短時間でも深く眠れればOK」と思いがちですが、実際には一定の睡眠“量”を確保することが土台になります。日本は国際的にみても平均睡眠時間が短めとの報道があり、OECDデータ(2021年)によればおよそ7時間22分ほどとされています。ただし、人それぞれベストな睡眠時間には多少の差があり、一律に「何時間が正解」ということでもありません。

自分のライフスタイルをふまえ、実際に何時間眠れれば気持ちよく目覚められるのかを、休日や連続休暇を活用して探る取り組みがおすすめです。連休が数日取れる機会に、毎晩しっかり寝てみて、自然と目覚ましなしで起きられる時間を計測してみましょう。その平均睡眠時間が、いわゆる「自分に合った時間」の目安になります。

睡眠負債をためないための具体策

ここでは、実際の生活のなかで活かしやすい形で睡眠を整える工夫をご紹介します。気軽に取り入れられるものもあるので、試しながら自分らしいリズムを探してみてください。

早起きする女性

就寝・起床リズムの調整

睡眠時間は足りないと感じたら就寝時間を30分ずつ早め、起床時間はなるべく固定するのが基本戦略です。あれこれ一気に変えるより、少しずつ眠るタイミングを前倒ししていく方がストレスにもなりにくいでしょう。目標は、目覚ましが鳴る前に自然と目が覚めるくらいの時間帯をつかむこと。これが叶うと、日中のエネルギーを発揮しやすくなると期待できます。

適度な昼寝でリフレッシュ

昼寝は午後2時ごろまでに20分程度を目安にすると、心身を元気にするひとときになることがあります。ただし、30分以上眠ってしまうと深い眠りに入り、そのあと起きたときにぼんやりしたり夜の寝つきが悪くなったりするかもしれません。もし昼寝を取り入れるなら、短い時間で切り上げ、気持ちを切り替えるイメージが大切です。また、夕方以降の仮眠は夜間の睡眠を妨げる可能性があるので、取りすぎには注意しましょう。

睡眠の質を導くちょっとした工夫

「量」は大事ですが、「質」を気にすることも有用です。ここでは、かしこく就寝前の刺激をコントロールし、なるべくスムーズに眠りにつきやすい環境を意識するためのポイントをまとめます。

寝る前にスマホを見る女性

就寝前のスマートフォンと付き合うコツ

スマートフォンやタブレットから発せられる光は、脳を覚醒させやすいとも言われています。特にゲームやSNSなど双方向のやり取りがあるコンテンツは、脳を興奮させやすいので注意が必要です。就寝前のスクリーン利用は避けられない場面もあると思いますが、受動的に映像を眺めるだけであれば比較的ゆったり過ごせるともされています。どうしても使いたい場合は、光を抑えるモードや暗い画面設定を利用するとよいでしょう。

実は自覚していない眠りの乱れ

「ちゃんと眠れているつもりでも、実はこまめに目が覚めてしまっていて質が落ちている」というケースは珍しくありません。たとえば、いびきや無呼吸を引き起こしている場合、本人は気づかないまま夜間にしばしば目覚めている可能性があります。もしかすると睡眠負債の背景に、こうした眠りの乱れが潜んでいるかもしれません。必要な場合は、医療機関や在宅計測デバイスなどを活用し、客観的に睡眠の状態をチェックしてみるのも一案です。

ネムリーがお届けできるサポートのかたち

睡眠負債の対策には、毎日の生活習慣や食事バランスも深く関係してきます。ネムリーでは、管理栄養士の視点から、無理なく日々の食生活を見直すお手伝いをしています。ここからは、ネムリーがお届けできるサポートやサービスについて、ざっくりとご紹介いたします。

ネムリーの店内

管理栄養士による栄養カウンセリング

「体重が増えやすい気がする」「夜遅くの食事がやめられない」など、生活のなかで抱えるお悩みを、管理栄養士がヒアリングしながらサポートします。なんとなく偏りがち、忙しいから仕方ない、とあきらめる前に、ぜひ一度ご相談ください。睡眠負債は食習慣とも深いつながりがありますので、日々の栄養バランスを総合的に捉えることで、自分らしいリズムを見出しやすくなるでしょう。

サプリメンテーションによる日常ケア

食事だけでは摂りきれないビタミン・ミネラルなどを補うサプリメントの活用は、忙しい方にとってひとつの選択肢となります。ネムリーでは、豊富なラインナップから、お一人おひとりの目的やライフスタイルに合わせたサプリメント選びをご提案しています。食事記録などもあわせてチェックしながら、お客様が継続しやすい方法を一緒に考えていきます。

生活習慣全般を見直すアドバイス

「運動がなかなか続かない」「夜に仕事が立て込みやすい」「昼寝のタイミングがつかめない」など、生活リズム面のご相談を受けることも多々あります。こうしたお声には、管理栄養士が中心となり、それぞれの方の生活背景を踏まえたアプローチを提案します。たとえば、起床や就寝の時間、活動量を少しずつ整理し、達成しやすい目標を設定する作業をお手伝いします。食事だけでなくライフスタイル全体の調整を検討することで、睡眠負債をためにくい習慣づくりをめざせるのです。

睡眠負債をためにくい生活リズムづくり

毎日をより快適に過ごすためには、睡眠負債が生じにくい生活習慣を築くことが大切です。ここでは、気をつけておきたいポイントをさらに掘り下げてご案内します。

夜中冷蔵庫を物色する女性

夜遅い食事や間食の見直し

夜遅い時間につい食べ過ぎてしまうと、からだが休まるはずの就寝時刻にエネルギーを使う場面がふえ、睡眠のリズムが不規則になりやすいと考えられます。どうしても夜に食べなければならない方は、

  • 消化が重くなりにくいメニューを選ぶ
  • できるだけ就寝の2時間前には食事を終える
  • 夜食を摂る場合は量に注意し、低脂質・低糖質を意識

などの工夫をしてみると良いでしょう。ネムリーのカウンセリングでは、こうした食習慣の組み立てをサポートすることで、無理のない形で生活に取り入れられるよう一緒に考えていきます。

起床後のリセット習慣

朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びることは、日中に元気に過ごすリズムづくりにおいて大切と考えられます。朝の光を感じることで、体内時計がリセットされやすくなり、その日の活動のエネルギーを引き出しやすくなるでしょう。もし余裕があれば、簡単なストレッチや軽めの体操などを取り入れてみるのも一案です。激しい運動ではなく、体をほぐす程度でも気分がシャキッとするかもしれません。

適度なアクティビティのすすめ

日中ほとんど動かずデスクワークだけだと、夜になっても体が疲れきらず寝つきが悪くなる、というケースもあります。ちょっとしたウォーキングや階段の利用など、小さなアクションを積み重ねることが、夜のスムーズな就寝につながるかもしれません。無理のない範囲で体を動かすことで気分転換にもなり、結果的に睡眠負債の予防を手助けしてくれることが考えられます。

睡眠の客観的チェックも視野に

自分では「ちゃんと寝ているつもり」でも、実際に計測してみると中途覚醒が頻繁だったり、思ったより深く休めていなかったりすることがあります。このようなケースに備え、近年は医療機関だけでなく、自宅で手軽に睡眠状態を記録するツールの種類が増えています。

腕時計タイプのウェアラブル機器

睡眠時の動きを測るアプリやウェアラブル機器

腕時計タイプのウェアラブル機器やスマートフォンアプリで、就寝中の動きや呼吸の状態を把握できるものがあります。夜間にどのくらい目が覚めたか、眠りがどれほど深かったかなどを数値化してくれるタイプもあるため、「意外と夜中に目覚めていた」という事実に気づくきっかけになるかもしれません。とはいえ、測定結果がすべてではありませんので、参考指標の一つとして活用しながら、日中の気分や疲れ具合とも照らし合わせてみましょう。

専門検査の利用

無呼吸症状の疑いがあったり、熟睡感がどうしても得にくいなど、より専門的な観点が必要な場合は、医療機関での検査を検討することもあります。ネムリーとしても、まずは睡眠状態の自己チェックを促し、そのうえで気になる点があるときは医師の診断を受けることを推奨しています。大切なのは、早めに自分の状況を把握し、必要に応じて適切なサポートを受けることにあると言えるでしょう。

まとめ

ここまで、睡眠負債の基礎から対処のヒント、そしてネムリーのサポートまで幅広くお伝えしました。最後にポイントを整理して、今から取り入れられる具体的な行動を考えてみましょう。

眠る女性

  • 毎日の睡眠時間を一定に保ち、週末の「寝だめ」に頼りすぎない
  • 食事バランスを工夫し、夜遅い間食や過剰な飲食を控える
  • 日中に20分以内の昼寝で区切りをつけて、夜ぐっすり寝るリズムを作る
  • 就寝前はスマホの使用を最小限にし、画面の明るさや内容に配慮する
  • 必要に応じて睡眠状態の客観的なチェックや専門検査を検討する

ぜひ、今日から一つでも実践できそうなポイントを取り入れてみてください。もし栄養面や生活習慣全般について相談したいと感じたら、ネムリーのカウンセリングサービスを活用いただければと思います。自分に合った睡眠習慣を整えて、健やかで充実した毎日を目指していきましょう。

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